ゴールを知らずに走るのは苦しい

子育ては楽しいけれども、不安との戦いでもあります。生まれたばかりの頃は殺してしまわないか、幼児期になれば育て方は間違っていないか、それが学齢期になれば、伸び伸びと育てたいと思いつつも塾だ、習い事だ、受験だと、周囲から取り残されまいと親は必死です。

なぜ不安なのか?
それは、「ゴールが見えないまま周りにつられて走っているから」ではないでしょうか。いえ、実際に走らされているのは子どもであり、疲弊し傷つくのは親ではなく子どもです。

では、子育てのゴールは一体どこなのでしょう?
学校で良い成績を修める?有名大学に進学する?安定した職を得る?
実際のところ、学歴主義に乗って安定企業に就職すれば安泰だった時代の常識が通用しなくなってきていることは、私達の多くは気づいています。

不安から周囲につられて走り出してしまうの図

子育てのゴールを意識する

子どもより先にこの世からいなくなる親が子ども達に願うべきは、10年後にどのような職業に就くかではなく、そのさらに50年後の未来も自立して幸せに暮らしていけることです。
絶えず変化していく社会の中で、その都度自分に何ができるか考え、職業を選び、そして何かに失敗しても、くじけず立ち上がる。そのようなしなやかさを子どもが身につけたときが、子育てのゴールだと考えています。
なんだか途方もないゴールですが、ゴールが分からず走っている人より、目的地が分かっているだけ幸せだと思いませんか?

では、ゴールにたどり着くために何をすれば良いのでしょう?

私たちは何かを成し遂げようとすれば、まずゴールを設定し、課題を洗い出し、何をすべきで何が出来るのかを考え、一つ一つ実行し解決していきます。
子育ても同じように考えれば、失敗をしながらも60年後もしなやかにたくましく生きている子どもの姿を想像し、そのために何をすべきなのかを親子で話し合い、問題意識を共有しながら、社会人デビューに向けて準備をしていくのが、今の私たちが出来ることなのだと考えています。

世渡り上手に育てる

「めしのタネ」は、子どもがきちんと手から離れ、その後も自立して生きていけることを望む親のために作られました。「めしのタネ」では子どもに、「社会を俯瞰し自ら判断し実行する能力」と「失敗しても立ち直れるしなやかさ」を身につけさせたいと考えています。

そのための1つ目の柱は、色んな職業を知ること。見知らぬ職業に憧れることはできないのです。将来の職業選択の幅を広げると共に、興味を持った職業に必要とされるスキルが何かを知ることができれば、子どもも日々の学びの大切さに気付くことができます。ゴールが見えないまま走るのが辛いのは、子どもも同じです。

2つ目の柱は、セルフマーケティングの能力を身につけること。子どもには好きなことを仕事にして欲しいし、職業を親のエゴで左右したくはありません。ですが、お金を稼ぐ、つまり食っていけるということはとても重要なことで、やりたいことと、世の中の需要がマッチしていなければ、お金は稼げません。
だからといって、やりたいことを諦める必要はないのです。やりたいことと世の中のニーズとの妥協点を探って自分を上手に売っている人、つまり世渡り上手な人は、社会の流れを捉えて自分をうまくマーケティングしています。もしそれが細々としたものでも、やりたいことをして食っていけるなら正解であり、セルフマーケティング思考は、先行き不透明な時代を楽しく生き残る必須の能力であり、「めしのタネ」は世渡り上手を育てることを目指しています。

最後に、世渡り上手な人たちはリアリストでありながらも楽観的です。失敗のない人生なんてありません。失敗も苦労も怒りも味わいながらも、自らの幸福の判断基準に従って人生を舵取りしてきた意識があるので幸せなのです。失敗しても凹まず、またチャレンジできる楽観性を吸収しようというのが3つ目の柱です。

この3つの柱を軸に、子どもが描く自由な未来像(ゴール)を実現するための方策を、現実的かつ戦略的に考えていくのが「めしのタネ」の役割です。それぞれが目指すゴールは違うかもしれませんが、末永い職業人生のヒントを得る場として活用いただければ幸いです。