横山健一さん(生化学の大学教員・研究者)

生化学を専門にされている横山健一さんは、日本で博士号を取得後アメリカに渡り、現在はアメリカのDuke大学で准教授をされています。幼いころから自然に興味があり、理科から化学、そして生化学と興味を追求して進んできた横山さん。脇目もふらずに好きなことだけをする「科学少年」のイメージそのままなのかと思いましたが、意外にも興味の対象が多すぎて、その中から出来る出来ないを現実的に考えて選んだ結果が今なのだとか。
その選択において重要な役割を果たしたのはご両親。ともに研究者だったということもありますが、何事も押し付けることなく、現実的かつ的確で、知識豊富な先輩としてのアドバイスが秀逸だったとしか言いようがありません。メンターというのは、こういう人たちのことを表した言葉だろうと思います。
化学や生物学に興味のある、もしくは研究者を目指しているお子さんには、とても有益な情報が盛りだくさん!です。そして、大局的な視点に立った子育てをしたいと試行錯誤している保護者の皆さまは是非、横山さんがご両親から受けた導きを参考にしてみてください。今回は、横山さんの伝えたい思いがあふれるロングインタビューです!

プロフィール

大学附属の高校に通ったものの、他大学に進学。大学4年生の時に生物有機化学の研究室に所属し、そのまま大学院に進学して博士号を2008年に取得。直後に渡米して2011年までボストンで博士研究員。2011年にデューク大学医学部生化学科に助教授として着任し、それ以来独立した研究室を主宰している。2019年に准教授になるとともにテニュア(終身雇用)取得。研究内容は化学と生物の境界領域で、新しい薬の開発を念頭に遺伝病の発症機構、抗生物質生合成や作用機序の基礎研究を行なっている。

Associate professor of Biochemistry and Chemistry
Duke University School of Medicine
URL: http://sites.duke.edu/yokoyamalab/
Twitter: @Yokoyama_Lab

大学教員(生化学)という仕事

質問 横山さんの仕事の内容を教えてください。

生化学とは化学と生物学の境界領域で、生物で起きていることを化学の視点から理解したり、化学のツールを使って生物の仕組みを明らかにする分野です。
その中で僕が研究対象としているのは抗生物質と酵素です。自然界にはたくさんの抗生物質が存在していますが、それがどうやってできてくるのか、それをどう改良していくかを研究しています。さらに、酵素は生体内での化学反応を触媒する、つまり化学反応を早く進めてくれる重要なものですが、現在使われている薬の約80%が酵素をターゲットとしています。なので、薬や抗生物質を作ろうとしたら酵素を理解することが重要で、そういう意味では、創薬を視野に入れつつ抗生物質や酵素を対象に研究をしているという言い方になるかと思います。
そのため僕の研究には、高校生の理科で言えば生物学と化学の両方の知識が必要で、それらに時々物理学も加えながら研究をしています。「手法にとらわれず、疑問に思ったことを研究して、よりクリアな形で世の中に提示していく」というのが僕のスタイルで、疑問に対し仮説を立て、それを検証していくというやり方ですね。

また、研究を材料にして、学生やポスドクをトレーニングするのも仕事です。当該分野で重要だと考えられる研究内容に関して、彼らをトレーニングして一人前の研究者に育てる。大学は研究機関であるとともに教育機関ですから、教育の側面はとても強いです。

それから、僕は大学院に所属しているので、大学院を運営していくにあたっての様々な委員会に参加します。例えば、入試、教員の選考や、学内の多様性を増やすための対策などをしています。そしてもちろん授業も、研究室の外の学内での仕事となります。学外でも、論文の査読(学術誌に寄せられた原稿に対し、その学問分野の専門家が読み査定する)だとか、学会への参加も仕事のうちです。


――もっと自分の興味のあることばかり追求しているイメージがあります。

実際には、当該分野で学術的に重要と考えられていることと、現実社会での問題を解決するような内容をバランスをとりながら研究内容を決めていきます。どちらかが欠けても学術研究としては成立しにくくなります。さらに、学生のテーマを考えるときは、その学生の興味や学びたいことを考慮に入れます。ですので、「自分の=個人の」興味というと正確ではありません。もっと大局的な視野で見るようにしています。

博士号を取ろうという学生には、元の研究レベルから明らかに一段上の結果を出さないとならないよと伝えています。僕が最初に提示したアイディアに、学生からプラスαのアイディアを出してくること、つまり言ったことをただやるだけでは、博士号には相応しくないということです。僕の想定に収まる人が大多数ですが、それでも僕の知識を超えるような手法を勉強して成果を出して欲しい。独立心を養うという意味で、プラスαを求めています。


――まさに教育者ですね。

教育者、ですね(笑)。僕が大学に勤めている理由は、やはりそこですよね。研究だけなら研究所や企業で十分で、学生を指導したいと思ったから大学に残りました。

大学研究者を目指す上で必要なこと

質問 大学の研究者・教員になるのに必須なものは?

博士号と、論文を読めて書けること、そして僕の分野であれば実験で結果が出せることです。


質問 実験で結果を出すというのは難しいと思いますが、どうしたら結果を出せる研究者になれると思いますか?

四六時中考えられるかどうかだと、僕は思っています。
研究室にいるときしか研究のことを考えていない人と、研究室から離れても論文を読んだりデータをまとめたりする人とは、はたから見ていても分かります。結果が全然違いますね。自分が学生やポスドクの時分は山のように実験していたので、以前は学生に実験をやれやれ言ってました。もう言ったりはしません、思いはするけど(笑)。要するに、どんなに頭が良くても、実験の量をこなさないとできないし、さらに実験をしていない時間にどれだけ考えられるかが勝負です。情報を取り入れるのも含めて、とにかく考える時間が重要だと思っています。

それがないと、「自分の色」が出た研究ができないんですよ。優秀な学生には、それができます。もちろん学生なので未熟な部分が多いですが、それでも単に与えられたテーマではなく、自分でやりたい内容を考えて調べて持ってくるような「自主性がある人」は伸びると思います。本人がやりたいようにやらせることで結果が出ないこともありますが、そういう場合はこちらも時折指導してうまくいくように軌道修正はしますが、本人にやらせることで、自分の研究だと思えること、つまりオーナーシップを感じられるかが重要ですね。


質問 大学で研究していくのに、あると優位なスキルやキャラクターはありますか?

研究センスと、学生に対する指導力、同僚や他の研究者と上手に付き合っていけるかでしょうか。


質問 研究センスというのは?

研究者において重要な「研究ターゲットと手法の選び方や研究の発展のさせ方」には、明らかにセンスというのがあるんですよ。それは自分で考える力に加え、基礎的なところがどれだけできているか?ではないかと思います。僕の分野で言えば、日本の高校レベルの基礎的な化学、生物学、物理学、数学をきちんと理解した上で、自分の分野の専門知識があるかどうかですね。

一方で、知識があって優秀な大学に通っていても、自分で考える力が足りない人もいるんですよ。バックボーンとなる知識と自分で考える力、どちらも備わっていないといけないんです。
それに加えて、世の中の人が何を重要だと感じているのかに気づく力も大切ですよね。たくさんの論文を読んで、何に新規性があるかを見つけられる力も同様です。僕がセンスと表現したのはそういった総合的な力で、これは研究を続けていく中で磨くことができると思います。


質問 この仕事で楽しいことは?

自分が興味ある内容を選んで、完全に自分の裁量で研究を進められ、特に自分の哲学がある場合はそれを実現できることですね。


質問 興味があるものをやりたくても、研究予算がつかない場合もあると思うのですが、横山さんにはそういった苦労はありませんか?

もちろんありますよ、研究費の獲得は切実な問題です。ポスドクぐらいなら教授にお金があればいい話ですが、僕のように研究室を主宰する側となると話は別で、研究費が取れない研究というのは残念ながらできません。
ですが、10年近く研究室を主宰してくる中で、テーマの選び方はもちろんですが、研究費へのつなげ方、つまり研究費の仕組みを理解して、うまく申請書を書くことが重要だということが段々分かってきました。世の需要もありますが、同じように研究している人が面白い、重要だと思わないと研究費が出てきませんので、同僚に対してどうアピールできるかも大切ですね。そういうのとすり合わせながら、研究の内容を考える必要はあります。

研究室のみなさん(一番左が横山さん)

自らの努力好きがアメリカでの苦労の原因に

――海外で外国人として成功するのは、並大抵の苦労ではないと思いますが。

僕が苦労したのは、日本人とアメリカ人の努力の仕方が違う点でした。
僕の大学院時代は、9時半までに研究室に行って、夜中まで実験や研究活動というスタイル。土曜日には研究室の報告会があるので、週6日でした。周りも似たような感じでやっている人が多かったです。ポスドク時代も似たような感じでしたが、若干短い印象でした。それがDuke大学に来たら、それがさらに短く9時5時で帰っちゃうんです。その割に効率がいいわけでもなくて。
カルチャーショックでしたね。大学院での研究活動は基本的に学生本人のためなので、なぜもっと自分のために実験したり勉強したりしないのか、と思いました。僕は自分の目標のために努力をすることが苦ではないので、当初は学生に「もっとたくさん実験しないとダメだ」と口うるさくしてしまったんです。それが間違いでした。結局、言ったところで変わらないし、学生がもっと興味を抱けるよう、研究に対しオーナーシップを感じられるように仕向けるしかないと、今なら分かりますけれども。

それから、Dukeでは生化学科にいますが、僕はそれまでずっと化学科にいたので、化学を知らない・興味がないという人が多いところでも、カルチャーショックを受けました。Dukeの生化学は化学寄りが弱いから僕が雇われたのだと、後から思いましたけれどもね。


――時間を割くことを良しとしてきた横山さんにとっての苦労に、共感できる読者は少ないかと(笑)。

若い大学教員の一つの典型的な苦労・失敗だと思います。それまでガツガツやってきたから、指導する側になったときに、当然他の学生も同じようにできると思っていて失敗しました。他の職種の管理職にも、似たようなことがあるのではないでしょうか。

今は育児などもあって、18時頃には帰ります。子どもが邪魔をしなければ、夜中や早朝も仕事していますが、その他の時間と週末は育児と家事をし、年に1、2回程度出張するような生活です。
若い頃はとにかく自分のキャリア、自己実現が第一でしたが、子供が生まれてから育児に時間をとるようになり、ワークライフバランスを考えるようになりましたよ。これは学生を指導する上でも、多様な視点に立って、おおらかに見ることができるようになったという点で、有用だったと思います。ただ、今も、子どもが大きくなった後に仕事の比率を上げようと、夢見てはいます。

親にはやれやれ言われたことは一度もないが、価値観だけは埋め込まれた

質問 子どものころから大学の教授職を目指していたのですか?

元々、企業で働くことにはあまり興味がなく、最初に所属した生物有機化学研究室の研究内容が自分に合っていると感じ、自然と研究職を目指しました。そして大学院時代に、日本に比べて、アメリカでは若くして独立した研究室を持てることを知り、それを目標に20代を過ごしました。思ったよりも早く独立して、苦労もありましたが、いい経験をしたと思っています。

僕は基礎的な生物科学的研究と有機化学に、高校生の頃から興味があったんですが、そもそも自然科学が小さいころから好きだったんです。親が山登りが好きで、嫌がる僕を連れて、テントに泊まって山を縦走したり。母も大学に勤めていて夏休みはフレキシブルに働けたので、それが1ヶ月近くなることも。そういう中で、とにかく理科が好きになり、中高で化学をやる中で有機化学に出会った時に、これは面白いと。


質問 私も理科は好きでしたけど、化学となるとチンプンカンプンで。もっと出来が良ければ興味を持てたのでしょうか。

僕は父が化学メーカーの研究職で、化学が身近だったんです。化学と生物学で迷っているという話を家でしていたら、父が「生物学というのは化学の集合体だから、化学を理解していないと生物学を理解できないよ」と。それがしっくりきたので、化学を選びましたね。環境の影響はかなり大きいと思いますよ。
でも、僕は文系にも興味があって、歴史をやりたい考古学をやりたいと言っていたこともあったんですよ。でも、母に就職先なども考えるように言われました。母は文系なので、苦労している人を見てきたんでしょうね。彼女自身は法律をやっているので、食いっぱぐれることはなかったけれども。
僕の両親は、あれをしろこれをしろとは言わない人達でした。すごく怒られた記憶も、勉強をしろと言われた記憶もありません。ただし、自然は大切だとか、価値観は教え込まれたね。今でいうSTEM教育です。山に毎年登るのもスキーに行くのも本当に嫌々だったんですけど、そうして道筋をつけてもらったと思います。

なので僕は自分の子どもに、「自分の興味がどこにあるのかを知るのが大切」だと、教えていこうと思っています。親が与えるものは大きいですよね。いわゆる「教育熱心」と言われる、興味を引き出すために色々な習い事をやらせるのは一つのやり方だとは思いますが、子どもが「自分は引きずり回されている」と感じるものは、興味を持っているとは言えないだろうと思います。本人が面白いと思い、熱中できるものを、小さいころから追求させるのがいいだろうと思います。


――熱中できるものがないタイプの子もいますが。

選択肢がある中で、どれが好きだと思いこめるか?じゃないでしょうか。そんな、本当に心躍って、ワクワクして、何も言われなくてもずっと続けられることなんて、僕にだってないですよ(笑)。そんなことを仕事に出来る人なんて、ほとんどいないですよ。でも、好きだと思い込むんです!

横山さんのデスク周り

質問 横山さんの場合は、高校の科目の中に好きだと思えるものがたまたまあったから、ストレートに研究者の道を突き進むことができたのでは?

んー、僕は本を読むのも好きなので作家になりたいと言っていた時期もあるし、社会の仕組みを学ぶ中でジャーナリストになりたいと言ったこともあります。そうしたら母親に、「ただジャーナリストになりたいと言ったって、専門性がないと生き残れないよ」と一蹴されて。「理系のジャーナリストなら専門も作れるだろうから、理系がいいんじゃない」と。高校時代は、自分が将来に何をすべきか、ずっと模索していましたね。


――ご両親の職業に関する的確な導きが理想的に思えますが、横山さん自身も、色々な職業を選択肢の一つとして現実的に思索できる、随分と大人な視点を持った高校生だったんですね。

僕は大学附属の高校に通ったのですが、8割の生徒は付属の大学にそのまま進学するんです。学校側は「ウチは受験対策はしません」と、はっきりと宣言していて。そうして、周りの同級生が部活をしたり遊んだりしている中で他大学を受験しようとしたら、強力なモチベーションが必要なんです。すると、いい大学に入ろうなんていうのは大したモチベーションにはならなくて、さらにその先を見る必要があったんですね。そうやって大きなものを見ていないと、大学受験なんてやっていられない訳です。もし、周りの皆が大学受験をするような学校に通っていたら、単純に大学を偏差値で選んでいたかもしれないですね。僕の環境では、色々と考えざるを得なかったんだと思います。


質問 そうはいっても、大学付属の高校から大学受験をした人たち皆が、横山さんのように将来のことを本気で考えるものでしょうか?

僕の周りで大学受験した同級生達は、割とそういう感じでしたよ。少なくとも、僕がよく話をしていた同級生たちは、何か人生の目標をもって受験をしていました。僕は、通った高校があまり良くなかったと思っていたんですが、今考えると、悪くなかったのかもしれないな (笑)。

僕は「化学」に進みましたが、興味のあることを突き詰めていって、将来を深く思考した上でそれが「美容」であると考えたなら、美容の道に進めばいいのです。そこが日本の大学の受験戦争の弊害だと思っています。必ずしもやりたいことを追及できない社会、いい大学に行く、東大に行くのが一番なんだっていう価値観の中で育ってしまうと、大学ではなく専門学校に通って美容師になるという選択肢はなかなか取りづらいですよね。自分の興味のあること、それが何であっても追求できる環境が10代の頃にないのは、キツイだろうなと思っています。

興味のある仕事を選ぶ人を増やすべく、アメリカの大学で議論になっていること

質問 大学教授は稼げますか?

給料で職種やキャリアを選んだことはなく、なんとも言えませんね。平均収入くらいはあると思いますが、高いとは思いません。企業に行っていれば、もしくは年収を最優先にキャリアを考えていれば、確実に今よりも収入は良かったと思いますが、給料で選んだ職種ではないので気にならないです。まあ、同職種で転職するとなったら、年収は高い方がいいとは思いますが。

実はこの稼げるかどうかというのは、こちらの大学でも最近議論になっています(一例としてワシントンポストの記事「People from elite backgrounds increasingly dominate academia, data shows」)。収入が低い家庭で育った子どもは、裕福な家庭で育った子どもに比べて、職業を選択するときに給料で決めがちだそうです。裕福な家庭の出身者は自分の興味で職業を選ぶ人が多く、たとえ給料が数百万円あがるとしても、興味のない職は選択しません。
これは大学院への進学率だとか、その後の就職先についての議論なのですが、僕はさらに、長期的な視野を持って職業を選択できるかどうか?という視点が欠けているのではないかと思っています。入った瞬間の給料は良くても、その後に伸びない可能性もありますよね。子どもの頃の経済状況が職業選択に影響を与えるのは当然だとは思います。が、それと同時に、家庭の中でどうやって子どもが目先の給料に飛びつくことなく、長期的視野を持って判断できるように育てられるかも関係してくると思うのです。


――アメリカの大学は学費が高額なため教育ローンを利用して通っている学生が多く、優秀な学生はひとまず自らの希望は置いて金融系の稼げる職につき、借金を返した後に元の興味のあった分野に転職するという例を見てきましたが。

それも一つの長期的展望を持っている例だと思います。そういう展望を持てているのであれば、最初は稼げる職に就くのもありだと思います。アメリカでは、一度就職してから大学院に入ってくる人が多いですが、アメリカの理系の大学院は基本的に給料が出るので、そこまで学費を稼ぐ必要性はありません。が、一度企業に就職して、本当にその分野に興味があるのかどうかを試してみてから、大学院に来る人がかなりいますよ。


――興味のあることを追求すべきということで、横山さんは一貫していますね。

僕は今でも、何を研究したら面白いだろうかと常に探していますからね。職業を決めるときに、何に疑問を持って興味があるのかというところを、他の何よりも見つけて欲しいです。いい大学に行ったり、有名企業に就職するということよりも、重要だと思っています。


質問 横山さんなりの、生き残るための戦略を教えてください。

まずは自分の興味と能力をよく知ることです。何に興味があり、何ができるのか。そして、何ができない、あるいは効率が悪いのか。他の人よりも自分が得意なことは何かを考え、知ることが重要で、その中で何ができるかを考えています。

研究内容については、今新しい内容か、10年くらいのスパンで続けられるかを考えてやっていますね。

横山さんから、子ども達へのメッセージ

とにかく幼い頃から、自分は何が好きかを考えるのがいいと思います。
基本的に人の能力は一部を除いてどんぐりの背比べなので、最終的にはどれだけ努力したかが成否を分けます。そして、多くの人にとって、自分が本当に好きなことは最も努力しやすいものです。それを見つけるためにも、遊びや勉強、習い事など色々なことをしたり、本を読んだり、友達、先生、親とたくさん話し、興味を持ったことは実際にやってみて、行ってみましょう。

そうして中学生、高校生くらいになったら、自分の興味とキャリアのすり合わせをする。自分の興味に従ってキャリアを考えるのがやりやすいと思いますが、それが現実的かどうか、周りの大人と相談するのが良いと思います。大学生になるまでに、具体的ではなくとも、ある程度の方向性を見出しておくべきです。

若い頃、「収入がいいから」、「有名になりたいから」、「ネームバリューがある」という理由で、職種やキャリアを選ぶ同級生や知人がいましたが、それではモチベーションが長続きしない可能性があると思っています。若い頃から高収入や知名度を得ることは難しい上、ネームバリューがある企業、職種でうまく出世できなかった場合、モチベーションが落ちますからね。収入や地位があるに越したことはありませんが、それは保証されたものではありません。一方、自分の興味があることを仕事にできれば、内容は自分で担保できるのです。多少収入が少ない時期があったり、思うように出世できなかったりしても、モチベーションを保ちやすいと思います。最終的には、収入と興味でバランスを取ることにはなりますが、少なくとも自分の場合は、興味から入ってバランスを取りましたね。

僕は、大学院、ポスドク、そして現在も、自分の興味を中心に研究を進めています。大学院時代に「こんなテーマは面白くない」と言われてもめげずに続けて、結果を出しました。自分の研究室を立ち上げた当初も、「こんな内容では研究費が獲得できない」と同僚に言われましたが、今は研究費が取れています。興味があって、そこに情熱を覚えられれば、その他の現実的な問題は後でなんとかなるものです。逆に、なんとかならない場合は興味と情熱が足りなかったのです。興味と情熱を抱けるものを、是非見つけてみてください。


横山さん、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です